孝(こう)
社会保険労務士事務所

佐藤孝一
2025年1月8日
はじめに
「社員がなかなかやる気を出してくれない」「職場環境が原因で人が辞めてしまう」――このような悩みを抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
従業員の成長を支えると同時に、安心して働ける環境を作ることが、職場の安定と発展には欠かせません。
そのために役立つのが、「マズローの欲求5段階説」を用いた成長支援と、「共感・創造型労務管理」による従業員の心の安定の両立です。
さらに、この2つの考え方を実現するには、「労働法」と「人間学」を組み合わせることが有効です。
労働法×人間学とは?
労働法は、給与や労働時間、福利厚生といった「外部からの働きかけ」で職場環境を整えます。
人間学は、従業員の「心」に寄り添い、やる気や成長を引き出します *学問ではありません
この2つを組み合わせることで、職場全体の成長と安定が両立できるのです。
マズローの欲求5段階説で考える社員の成長
マズローの欲求5段階説は、人間の欲求を5つのレベルに分けた理論です。
この理論を活用して、社員の成長を支援する方法をご紹介します。
(1) 生理的欲求: 衣食住を満たすこと
労働法を活用
適正な給与を支払い、生活を安定させる。
労働時間を管理し、従業員の心身の健康を守る。
残業時間を削減し、有給休暇を確実に取得させる。
(2) 安全欲求: 安全で守られていると感じること
労働法を活用
ハラスメント防止策を徹底し、安心して働ける職場を提供する。
育児・介護休業制度を整備して、働き方の柔軟性を確保する。
労災保険や雇用保険を正しく適用する。
(3) 所属欲求: 孤独を感じないこと
労働法を活用
人事制度の中で、上司と部下の関係を強化する仕組みを設ける。
例: 月2回、15分程度の1on1面談を実施する。
人間学を活用
企業理念や価値観を共有し、従業員が「自分も会社の一員」と感じられる環境を作る。
(4) 承認欲求: 褒められたい、認めてもらいたい
労働法を活用
成果を正しく評価し、人事制度を活用して承認の場を設ける。
例: 面談の場で、具体的な褒め言葉や感謝を伝える。
人間学を活用
モチベーションを強化するために、達成感、承認、責任感、仕事そのもの、昇進感を満たす
例: 昇進や表彰を通じて、「認められている」と感じてもらう。
(5) 自己実現欲求: 成長し、成果を出すこと
労働法を活用
昇進や新しい役割への挑戦をサポートし、キャリア形成を支援する。
例: 人事制度を使って、社員に挑戦の機会を与える。
人間学を活用
社員に会社のビジョンや社会的意義を伝え、働く意義を深く理解してもらう。
例: 「私たちの仕事が社会にどう役立っているのか」を深く考えてもらう
共感・創造型労務管理で職場の安定を実現
成長だけでなく、社員が安心して働ける「心の安定」も必要です。
共感と創造を軸にした労務管理を取り入れることで、実現可能です
共感型アプローチ
労働法を活用
従業員一人ひとりの状況に応じた働き方を提供する。
例: 時短勤務やリモートワークを導入し、家庭と仕事の両立を支援する。
創造型アプローチ
労働法を活用
【共同性の創造】個別の労働契約を締結が、社員に「会社の一員である」という意識を持ってもらう手段となります
人間学を活用
【息抜きの創造】: 社内でイベントや体操を取り入れ、リフレッシュの時間を設ける。
【心の安定の創造】: 就業時間内に、心理学や哲学の講義を開催し、自己啓発の機会を提供する。
まとめ
「労働法」で職場の基盤を整え、「人間学」で社員の心にアプローチすることで、職場の成長と安定を両立できます。
このアプローチは、社員の満足度を高めるだけでなく、企業全体の生産性向上にもつながります。
次の一歩として、以下を試してみてはいかがでしょうか?
残業時間や休暇取得のルールを見直す。
社員一人ひとりの声に耳を傾ける面談を定期的に行う。
社員が会社のビジョンや意義を感じられる仕組みを作る。
これらを実践することで、社員と企業がともに成長し、持続可能な職場環境が築けるでしょう。