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「何の相談もなく辞めた」社員の退職は、本当に突然だったのか|社長が半年前にできた一言

佐藤孝一

2026年10月1日

まじめな社員ほど見えにくい、退職までの5つの段階

遅刻もない。ミスも少ない。文句も言わない。

そんな社員から、ある日突然、退職届を渡される。


「不満があるなら言ってくれればよかったのに」。

そう感じた経験のある経営者は、少なくないはずです。


この記事では、社員の退職がなぜ「突然」に見えるのかを、経営者から見た職場と、社員から見た職場の両面から整理し、経営者が明日からできることをお伝えします。


経営者には「何の相談もなく辞めた」と見えている


架空の物語で考えてみます。


【小林社長の世界】

社員18人の惣菜製造会社を経営する小林さんは、先週、入社7年目の木村さんから退職届を受け取りました。


木村さんは製造ラインのまとめ役です。遅刻も欠勤もなく、トラブルを起こしたこともありません。


小林さんにとって、一番安心して仕事を任せられる社員でした。

だからこそ、

「何の相談もなく、いきなり辞めるなんて」と戸惑っています。


経営者から見れば、まさに「突然の退職」だったのです。


社員には「相談できる場面がなかった」と見えている


【木村さんの世界】

一方、木村さんにとって、この退職は突然ではありませんでした。


半年前、ベテランの先輩が辞め、その仕事が木村さんに回ってきました。


ラインのまとめ役に加えて、衛生管理の記録と新しいパートさんの指導。残業は少しずつ増えましたが、役割について改めて説明されることも、処遇が変わることもありませんでした。


木村さんは何度か小林さんに話そうと思いました。


しかし、小林さんはいつも忙しそうです。


顔を合わせると、

「木村さんがいるから安心だよ」と言って通り過ぎていきます。


「ここで大変だと言ったら、期待を裏切ることになる」

そう考えて、木村さんは「大丈夫です」と答え続けました。


そして3か月前に転職活動を始め、先週、退職届を出したのです。

小林さんには、ある日突然の退職。

木村さんには、半年かけた決断。


同じ出来事でも、二人には違う時間が流れていました。

退職は「突然」ではなく、段階がある


社員が辞めるまでには、多くの場合、次のような段階があります。

1. 仕事や職場に、小さな違和感が生まれる

2. 相談しようか迷う

3. 「迷惑をかけたくない」「言っても変わらない」と飲み込む

4. 会社の外の選択肢を探し始める

5. 決めてから、会社に伝える


経営者が知るのは、たいてい5つ目だけです。

だから「突然」に見えます。


特に、まじめで問題を起こさない社員ほど、不満を口にしないまま一人で決めてしまうことがあります。


経営者が安心して任せている社員ほど、その変化は経営者の目に映りにくいのです。


違いは「信頼を、聞く理由にしたか」


もし半年前、仕事が増えた頃に、小林さんがこう声をかけていたらどうでしょうか。

「最近、仕事で何か変わったことある?」


木村さんは少し迷ってから、

「実は、パートさんの指導まで手が回らなくて」と話し始めたかもしれません。


そこで小林さんが、

「一度、今の仕事を全部書き出してみよう」

と返していれば、木村さんは、困ったときに話せる場所がこの会社にはあると感じることができたかもしれません。


実際、小林さんも木村さんを信頼していました。

信頼していたからこそ、何も聞かなかったのです。


違いは、その信頼を「聞かない理由」にしたか、「聞く理由」にしたか。

そこにあります。


経営者が明日からできる3つのこと

1. 月に一度、「最近、仕事で何か変わったことある?」と聞く

面談の席でなくても、立ち話で構いません。「困っていることは?」と聞くより答えやすく、仕事の変化を話すきっかけになります。


2. 誰かが辞めたときや仕事が増えたときは、引き継いだ社員と一緒に仕事を書き出す

何が増えたのかを、経営者または管理職と社員が同じ紙で見ることで、本人の抱え込みに気づきやすくなります。


3. 増えた役割が、評価や処遇、日々の声かけでどう扱われているかを確認する

仕事だけが増えて何も変わらなければ、まじめな社員ほど会社の外に答えを探し始めることがあります。


一言を変えるのと同時に、仕組みも見直すことが大切です。


なお、

「辞めるつもりじゃないよね」

と気持ちを確かめるのは、かえって社員を話しにくくさせることがあります。


聞くのは「辞めるかどうか」ではありません。

仕事に何が起きているのか。

まずは、そこを聞くことです。


社員の世界は、経営者からは見えない

ここで難しいのは、木村さんのような社員は、聞かれても最初は「大丈夫です」と答えることがあるという点です。


経営者がどれだけ職場を見ていても、社員に見えている会社をそのまま知ることはできません。


まずは、経営者ご自身から見た職場を整理してみることをおすすめします。


孝(こう)社会保険労務士事務所では、経営者お一人で答えられる経営者向けの無料診断をご用意しています。


「相談・発言・助けを求めやすい環境」

「努力や成果の評価・処遇・承認」

など、今回の話に関わる点も含めて、今見直した方がよいポイントを整理できます。


さらに社員側の見え方を知りたい場合は、社員の皆さんに無記名で回答していただく有料診断で、経営者から見た職場と、社員から見た職場を比べることができます。


退職届は、決断の最後の場面にすぎません。

その手前にある小さな変化に気づくことが、人が辞めない職場への第一歩です。


▶ 【無料診断ページURL】

https://www.koh-sharousi.com/annai

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