改善提案が出ない職場|社員が「言わない方が安全」と感じる理由
- 佐藤孝一
- 1 日前
- 読了時間: 3分

仕事をしていると、上司の指示や判断に間違いがあると気づくことがあります。
しかし、気づいたからといって、すぐに指摘できるとは限りません。
指摘すれば仕事が止まるかもしれない。反論や弁解を受ければ、説明に時間がかかる。人間関係ができていなければ、嫌われるのではないかと不安になることもあります。
私自身、以前、上司の間違いを指摘して関係が険悪になり、その後は同じような場面で指摘をためらうようになりました。
一方で、指摘したときに「ありがとう」と言われると、次も伝えやすくなりました。
同じ指摘でも、相手の反応によって、その後の行動は変わります。これは改善提案にも共通します。
改善提案には安心が必要
改善提案は、現在の仕事の進め方や上司の判断に意見を述べる行為です。
そのため社員は、
「余計なことを言う人と思われないか」「言っても反論されるだけではないか」
「自分の仕事が増えるのではないか」
と考えることがあります。
経営者から見ると、何も考えていないように見えるかもしれません。
しかし、実際には、問題に気づいていても、これまでの経験から「言わない方が安全」と判断している場合があります。
すべての提案を採用する必要はありません。大切なのは、まず受け止めることです。
「教えてくれてありがとう」「今すぐは難しいが、問題は分かった」「今回は、この理由で見送ります」
このような反応が返れば、社員は次も意見を出しやすくなります。
反対に、すぐ反論されたり、何の返答もなかったりすると、「言っても意味がない」という感覚が残ります。
人間関係や役割の曖昧さも影響する
普段から話を聞いてもらえている関係なら、意見が採用されなくても、次回も伝えやすくなります。
また、社員が「改善を考えるのは上司の仕事」「自分の担当外には口を出しにくい」と感じている場合も、提案は出にくくなります。
改善提案を求めるのであれば、どの仕事について意見を出してほしいのか、どこまで現場で判断してよいのかを伝えることも必要です。
改善提案が出ない背景を職場の状態から確認する
改善提案が出ないときは、社員の意欲や能力だけでなく、次のような職場の状態を確認することが大切です。
安心して意見や相談を出せる関係があるか
提案や指摘を受け止める反応が返っているか
役割や判断してよい範囲が明確か
努力や工夫が認められている実感があるか
仕事に達成感や成長実感を持てているか
原因は一つとは限りません。相談しにくさ、役割の曖昧さ、承認されている実感の弱さなどが重なっていることもあります。
孝(こう)社会保険労務士事務所では、達成感、認められている実感、仕事への誇り、使命感、成長実感などを確認する「前向きさ診断」を用意しています。
相談しにくさや職場ルールの曖昧さも気になる場合は、「労務リスク診断」とあわせて確認できます。
改善提案を増やすことだけを目的にするのではなく、社員が気づいたことを安心して伝えられる職場になっているかを振り返ることが、人材定着に向けた最初の一歩です。
プロフィール 孝(こう)社労士事務所 代表 佐藤孝一
メーカーの開発・試作部門で約15年、介護現場で約11年、主に働く側として職場を経験してきました。現在も介護現場で勤務しながら、孝(こう)社会保険労務士事務所を運営しています。働く人の能力や意欲だけに原因を求めず、労務上の安心と仕事への前向きさの両面から、人が力を発揮しながら働き続けやすい職場づくりを支援しています。
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