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緊張感を持って仕事をする職場とは|安心と前向きさで人が定着する職場づくり

執筆者の写真: 佐藤孝一
佐藤孝一
2024年10月29日
読了時間: 7分

更新日:9月8日


工場で作業手順を確認する上司と若手社員、介護施設で利用者に寄り添いながら連携する職員の様子

緊張感を持って仕事をすることは、必要です。

新しい仕事に挑戦するとき。お客様や利用者の期待に応えようとするとき。目標に向かって集中しているとき。


このような場面で生まれる適度な緊張感は、集中力や責任感を高め、仕事への前向きな行動につながることがあります。


一方で、失敗への恐怖や上司への萎縮から生まれる緊張感は、社員の疲労を増やし、質問や相談、改善提案を減らすことがあります。


同じ緊張感でも、仕事が終わった後に「充実感」が残る場合と、「疲労感」だけが残る場合があります。


人が定着し、前向きに働きやすい職場をつくるためには、緊張感をなくすのではなく、

安心して集中できる状態をつくることが重要です。


緊張感を持って仕事をするメリットと注意点


適度な緊張感があると、人は目の前の仕事に集中しやすくなります。


例えば、次のような状態です。

  • 目標や役割が明確になっている

  • 自分の仕事が誰かの役に立つと分かっている

  • 必要な場面で相談できる

  • 工夫や挑戦を認めてもらえる

  • 仕事を終えた後に達成感が残る


このような緊張感は、仕事への責任感や前向きさにつながります。


しかし、次のような状態では、緊張感が社員の萎縮や消耗につながる可能性があります。

  • 失敗すると強く責められる

  • 質問すると能力不足だと思われる

  • 上司の機嫌を常に気にしている

  • 何を基準に評価されるのか分からない

  • 相談や提案をしても反応がない

  • 仕事の後に疲労感だけが残る


社員が緊張感を持っているからといって、必ずしも仕事に集中できているとは限りません。

失敗しないことや注意されないことに意識が向きすぎると、仕事を良くするための工夫や提案に力を使いにくくなります。


適度な緊張感は「安心」と「前向きさ」があるときに生まれる


人が定着しやすい職場に必要なのは、ただ緩い雰囲気ではありません。

一方で、常に張りつめた空気も、人が安心して働ける状態とはいえません。


大切なのは、社員が安心して働ける土台があり、その上で仕事へ前向きに取り組める状態です。


安心だけが強く、目標や役割が曖昧であれば、仕事が受け身になることがあります。

反対に、挑戦や成果だけを求めても、相談しにくさや評価への不安があれば、社員は守りに入りやすくなります。


必要なのは、

安心して挑戦できる状態です。

この状態が、仕事への集中につながる適度な緊張感を生み出します。


製造業と介護現場で感じた緊張感


私は、メーカーの開発・試作部門で約15年、介護現場で約11年働いてきました。

メーカーの開発・試作部門では、品質や納期を守りながら、試作した結果を確認し、次の方法を考える必要がありました。


試した方法が思いどおりの結果にならないこともあります。その場合は、原因を考え、条件や手順を変えて、もう一度試します。


介護現場でも、利用者の安全を守りながら、そのときの状態に応じた判断が求められます。決められた手順を守るだけでなく、利用者の小さな変化に気づき、必要な情報を周囲へ伝えることも重要です。


どちらの仕事にも緊張感は必要です。


しかし、分からないことを相談でき、失敗や問題が起きた後に改善方法を考えられる職場では、緊張感が集中力につながります。


一方で、失敗への強い叱責や相談しにくい空気がある職場では、緊張感が萎縮や疲労に変わります。


必要なのは、緊張感をなくすことではありません。

安心して相談し、考え、行動できる状態をつくることです。


人が定着する職場に必要な4つのポイント


1.目標と役割を明確にする

社員が目指す方向や、自分に求められている役割が分かると、

「何を優先すればよいか」「どこまで自分で判断してよいか」「どうすれば仕事をより良くできるか」を考えやすくなります。


反対に、目標や判断範囲が曖昧な職場では、社員は失敗を避けるために、何でも上司へ確認するようになることがあります。


目標を伝えるときは、数字や期限だけでなく、その仕事の目的も共有することが大切です。

仕事の目的が分かると、単に指示を守るだけでなく、自分なりの工夫が生まれやすくなります。


2.相談しやすい状態をつくる

社員が、「分からないことを聞いても大丈夫」「問題が小さいうちに相談してもよい」

と思えることは重要です。


相談したときに、

「それくらい自分で考えて」「前にも説明したよね」

と返される経験が続くと、社員は次第に質問や相談を控えるようになります。


その結果、問題が大きくなってから報告されることもあります。

相談を受けたときは、最初に内容を否定するのではなく、まず最後まで聞くことが大切です。


相談しやすくすることは、何でも上司が決めることではありません。

社員が安心して判断力を身につけられる状態をつくることです。


3.小さな挑戦や工夫を認める

新しいことに挑戦すれば、思いどおりの結果にならないこともあります。

しかし、失敗や不足だけを強く指摘される職場では、社員は次第に挑戦を避けるようになります。

反対に、

  • 問題を早めに相談した

  • 改善方法を提案した

  • 前回の失敗を次の仕事に生かした

  • 新人が分かりやすいように手順を工夫した

  • 自分の方法を周囲へ共有した

といった小さな前進を認める職場では、社員は次の行動を起こしやすくなります。


大切なのは、結果だけでなく、仕事を良くしようとした行動にも目を向けることです。

失敗や不足ばかりを見る職場では、社員が提案や挑戦を控えやすくなります。


4.労務管理の土台を整える

賃金、労働時間、休日、休暇、ハラスメント対策などに不安があると、社員は安心して仕事へ向かいにくくなります。


例えば、

  • 慢性的に残業が続いている

  • 休みを申し出にくい

  • 職場のルールが人によって変わる

  • ハラスメントについて相談する場所がない

  • 評価や役割の基準が分かりにくい

といった状態です。


このような職場では、緊張感が集中力ではなく、消耗につながりやすくなります。

労務管理は、単に法律を守るための手続きではありません。

社員が安心して働き、仕事に集中しやすくするための土台です。


良い緊張感と悪い緊張感を見分ける方法


職場の緊張感が適切かどうかは、社員の表情だけでは判断できません。

表面上は黙って仕事をしていても、集中している場合と、発言を諦めている場合があります。


次のような変化がないか確認してみてください。

  • 以前より質問が減っている

  • 改善提案が出なくなっている

  • 会議で反対意見が出なくなっている

  • 自分なりの工夫を共有しなくなっている

  • 「大丈夫です」という返答が増えている

  • 仕事の後に強い疲労感が残っている

このような変化がある場合、職場の緊張感が社員の前向きさではなく、萎縮につながっている可能性があります。


社員の能力や意欲だけでなく、相談したときの上司の反応、判断範囲、評価方法、働き方の状態も確認する必要があります。


まず「安心」と「前向きさ」を分けて確認する


職場に以前ほど活気がない。挑戦する人が減っている。会議で意見が出にくくなっている。社員の疲労がたまっている。


このような状態を感じたときは、まず次の2つを分けて見てみることが大切です。


①安心して働ける土台が弱くなっていないか

  • 労働時間や休日に不安がないか

  • 相談や報告がしやすいか

  • 役割や判断範囲が明確か

  • 職場のルールが公平に運用されているか


②仕事への前向きさが弱くなっていないか

  • 達成感を持てているか

  • 頑張りや工夫を認められているか

  • 仕事への誇りを感じられているか

  • 成長している実感があるか

  • 次の役割や目標が見えているか

この2つを分けて確認すると、何を改善すべきかが見えやすくなります。


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私のプロフィール


メーカーの開発・試作部門で約15年、介護現場で約11年勤務。

製造業と介護の現場で働いた経験と、社会保険労務士の視点から、人が定着し、前向きに働きやすい職場づくりについて発信しています。

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