職場の人間関係を良くする3つの方法|メーカー・介護職員を経験した社労士の視点
- 佐藤孝一
- 2024年10月1日
- 読了時間: 5分
更新日:2 日前

職場の人間関係を良くするためには、コミュニケーション能力の高い人になる必要があるのでしょうか。
私は、良好な人間関係をつくることが得意な方ではありません。
相手の言葉を深く考えすぎたり、自分の考えをうまく伝えられなかったりしたことがあります。
また、上司の判断に間違いがあると感じて指摘した結果、関係が悪くなった経験もあります。
そのため、私は「人間関係のつくり方を教えられる」とは考えていません。
ただ、メーカーの開発・試作部門で約15年、介護の現場で約11年働く中で、人間関係を必要以上に悪くしないために大切だと感じたことがあります。
それは、相手をすぐに理解しようとすることよりも、まず、自分とは違う見方があると認めることです。
同じ職場でも、見えているものは違う
メーカーの開発・試作部門では、同じ試作品を見ていても、設計担当者と試作担当者では見ているところが違います。
介護の現場でも同じです。
ある職員は利用者の安全を優先し、別の職員は本人の希望を尊重したいと考えることがあります。どちらか一方が間違っているとは限りません。役割や経験によって、見えているものが違うのです。
人間関係が悪くなる原因の一つは、自分が見ているものだけを「正しい現実」だと思ってしまうことです。
視野を広げるとは、多くの知識を身につけることだけではありません。
自分以外の視点を増やすことでもあります。
そのためにできることを、三つに整理します。
1.相手の話を最後まで聞く
一つ目は、傾聴です。
傾聴というと、うなずき方や質問の仕方など、難しい技術を想像するかもしれません。
しかし、最初に必要なのは、もっと単純なことです。
相手が話し終わる前に、自分の答えを出さないことです。
会話の途中で、
「それは違う」
「前にも説明した」
「結局、何が言いたいのか」
と返されると、相手は話の続きを言いにくくなります。
話を聞くことは、相手の意見に賛成することではありません。
まず、相手が何を見て、何に困り、何を伝えようとしているのかを確認することです。
私自身も、相手が話している途中で「こういう意味だろう」と決めつけてしまうことがあります。しかし、最後まで聞いてみると、最初に想像した内容とは違っていたこともあります。
人の話を聞く目的は、すぐに答えを出すことではなく、自分がまだ知らない情報を受け取ることです。
2.相手の立場から見えているものを想像する
二つ目は、相手の視点を想像することです。
例えば、会議で反対意見が出たとします。
そのとき、
「協力する気がない」
「否定ばかりする人だ」
と考える前に、別の可能性を考えます。
・現場で過去に同じ失敗があったのかもしれません。
・作業量(工数)が増えることを心配しているのかもしれません。
・説明されていない事情があるのかもしれません。
相手の考えを完全に理解することはできません。
しかし、この人には、自分には見えていない何かが見えているのかもしれない
と考えるだけでも、対応は変わります。
3.すぐに良い・悪いを決めない
三つ目は、相手の意見をすぐに評価しないことです。
人は話を聞いた瞬間に、
「正しい」
「間違っている」
「できる」
「できない」
と判断しがちです。
しかし、判断が早すぎると、相手の意見に含まれている重要な情報まで捨ててしまうことがあります。
改善提案をそのまま採用できない場合でも、
「なぜ、その提案をしたのか」
「どのような問題に気づいたのか」
を聞けば、別の改善につながる可能性があります。
大切なのは、評価をしないことではなく、評価する前に理解する時間をつくることです。
私自身、正しいことを伝えようとするあまり、相手がどう受け取るかまで考えられなかったことがあります。
内容が正しくても、相手が否定されたと感じれば、その後は意見を言わなくなることがあります。
反対に、意見が採用されなくても、
「教えてくれてありがとう」
「そのように考えた理由をもう少し聞かせてください」と返されれば、次も話しやすくなります。
良好な人間関係は、仲良くすることではない
職場で全員と親しくなる必要はありません。性格や価値観が合わない人もいます。
良好な人間関係とは、必ずしも仲が良い状態ではなく、
必要なことを伝えられる
分からないことを質問できる
意見が違っても仕事を進められる
困ったときに相談できる
という状態ではないでしょうか。
そのためには、個人のコミュニケーション能力だけに任せるのではなく、職場の仕組みも必要です。
会議では最後まで話を聞く。
提案を採用しない場合も理由を返す。
意見と人格を分けて考える。
質問や相談をした人を責めない。
こうした小さなルールが、意見を言っても大丈夫だという安心につながります。
まとめ
職場で良好な人間関係を築くために、誰もが人付き合いの得意な人になる必要はありません。
私自身も、人間関係づくりが得意だとは感じていません。
だからこそ、感覚や相性だけに頼らず、次の三つを意識しています。
・相手の話を最後まで聞く。
・相手には何が見えているのかを想像する。
・理解する前に、良い・悪いを決めない。
視野が広いとは、自分の考えをたくさん持っていることではなく、自分以外の視点を受け入れられることです。
良好な人間関係は、一度の特別な会話で生まれるものではありません。
日々の会話の中で、相手の話を少し長く聞き、判断を少し遅らせる。その積み重ねが、相談や提案をしやすい職場につながっていくのだと考えています。
孝(こう)社会保険労務士事務所 URL:https://www.koh-sharousi.com/

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