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減点主義とは?社員が動かなくなる理由と加点主義への変え方

更新日:7月30日




製造業と介護現場で、減点主義による萎縮した職場と、加点主義による相談・協力が生まれる職場を比較した画像

減点主義とは?社員が動かなくなる理由と加点主義への変え方


「社員から改善提案が出なくなった」「何でも上司に確認し、自分で判断しなくなった」「言われたことは行うが、それ以上のことはしない」

このような状態が見られると、社員の能力や意欲に原因があるように感じることがあります。


しかし、社員が自分から動かなくなる背景には、失敗や不足ばかりに注目する

減点主義の職場状態が影響していることがあります。


安全、品質、納期、法令順守など、守るべき基準を明確にすることは必要です。

ただし、間違いを防ぐことばかりが強調されると、社員は次第に、

「余計なことはしない方が安全」「提案して否定されるくらいなら黙っていた方がよい」「指示された範囲だけを行おう」

と考えるようになります。


この記事では、減点主義とはどのような考え方なのか、社員の行動にどのような影響を与えるのか、加点主義へ変えるために職場で何ができるのかを解説します。


減点主義とは


減点主義とは、社員ができたことや前進したことよりも、失敗や不足している点を中心に評価する考え方です。


もちろん、ミスや問題点を伝えること自体が悪いわけではありません。

問題になるのは、社員が何かに挑戦しても、その過程や工夫には触れられず、失敗した部分だけが強く指摘される状態です。


このような経験が繰り返されると、社員は「どうすれば仕事を良くできるか」よりも、

「どうすれば注意されずに済むか」を考えるようになります。


その結果、仕事への前向きさが弱くなり、自分から動きにくくなります。


減点主義の職場で起こりやすい変化


減点主義が強い職場では、次のような変化が起きやすくなります。


  • 失敗を避けるために、新しいことへ挑戦しなくなる

  • 改善方法に気づいても提案しなくなる

  • 判断せず、上司への確認が増える

  • 問題を早い段階で相談しなくなる

  • 指示された範囲だけで仕事をする

  • 自分なりの工夫を職場で共有しなくなる


表面上は、社員が反対意見を言わなくなり、職場が静かになったように見えることがあります。

しかし、その静けさが納得や信頼によるものとは限りません。

社員が、

「言っても変わらない」「言わない方が安全」「余計なことはしない方がよい」

と判断した結果かもしれません。


製造業と介護現場で感じた「守ること」と「動けること」の違い


私は、メーカーの開発・試作部門で約15年、介護現場で約11年働いてきました。

製造業では、品質や納期を守るために、細かな確認やミスの防止が欠かせません。

介護現場でも、利用者の安全を守るために、決められた手順や情報共有が必要です。

どちらの職場でも、守るべきルールを明確にすることは重要です。


一方で、間違いを防ぐことばかりが強調されると、働く人は気づいたことを伝えたり、新しい方法を試したりすることを控えるようになります。


例えば、社員や職員が、

「この方法では新人が間違えやすいと思います」「この手順は少し分かりにくいです」「こちらの進め方の方が安全ではないでしょうか」

と伝えたとき、否定されたり、反応がなかったりする経験が続けば、次からは意見を言わなくなる可能性があります。


守るべきことを明確にすることと、提案や工夫まで抑えることは別です。

この区別が曖昧になると、職場全体が減点主義に傾きやすくなります。


加点主義とは


加点主義とは、社員を何でも褒めたり、失敗を見逃したりすることではありません。

結果だけでなく、仕事を良くするための小さな前進にも目を向ける考え方です。


例えば、次のような行動です。


  • 問題を早い段階で相談した

  • 改善方法を提案した

  • お客様や利用者のために工夫した

  • 失敗を振り返り、次の仕事に生かした

  • 新人が間違えにくい方法を考えた

  • 自分の経験を周囲に共有した


こうした行動を具体的に認めることで、社員は、

「次も相談してよい」「提案しても大丈夫」「自分の工夫を見てもらえている」

と感じやすくなります。

その感覚が、次の思考や行動につながります。


加点主義は社員を甘やかすことではない


加点主義へ変えると聞くと、

「ミスを注意できなくなるのではないか」「職場が甘くなるのではないか」

と感じるかもしれません。

しかし、加点主義でも改善点は伝えます。

大切なのは、守るべき基準と、成長につながる行動を分けて考えることです。


仕組みで守ること


  • 安全に関するルール

  • 品質基準

  • 労働時間や休日の管理

  • ハラスメントの防止

  • 法令や社内手順


これらは、ルール、教育、手順、チェック体制によって守ります。


加点して見ること


  • 改善提案

  • 早めの相談

  • 小さな工夫

  • 新しい挑戦

  • 失敗からの学び

  • 周囲への協力や共有


守るべき基準を曖昧にせず、そのうえで前向きな行動を認めることが重要です。


減点主義から加点主義へ変える5つの方法


1.守るべき基準を明確にする

社員が判断に迷わないように、安全、品質、法令など、必ず守ることを明確にします。

すべてを自由に任せることが加点主義ではありません。

守る範囲が分かることで、その範囲内で工夫や提案をしやすくなります。


2.結果だけでなく、行動も見る

目標を達成したかだけでなく、相談、提案、工夫、共有など、結果に至るまでの行動も確認します。

結果が出るまでには時間がかかることもあります。

途中の前進を認めることで、社員は行動を続けやすくなります。


3.失敗したときは、次の行動を確認する

失敗した社員に対して、原因だけを追及すると、防御的になりやすくなります。

次のような点を一緒に確認します。

  • 今回、何に気づいたか

  • 次は何を変えるか

  • 同じ失敗を防ぐために、どのような仕組みが必要か

失敗を放置するのではなく、次の改善につなげることが大切です。


4.提案には必ず反応する

すべての提案を採用する必要はありません。

ただし、無反応で終わらせないことが重要です。

例えば、

「提案してくれてありがとう」「今回は安全面を確認する必要があるため、すぐには変更できない」

と理由を伝えます。


採用されなかったとしても、提案したことを受け止めてもらえれば、社員は次も意見を伝えやすくなります。


5.小さな前進を具体的に伝える

「よく頑張りました」だけでは、何が評価されたのか分かりにくいことがあります。

次のように、行動を具体的に伝えます。


・新人が分かりやすいように、手順を整理した点がよかった。

・失敗した後に、自分で改善方法を考えた点が次につながった。


何がよかったのかが分かると、社員は同じ行動を続けやすくなります。


加点主義が前向きな行動の循環をつくる


社員の前向きさは、一度の声かけで大きく変わるものではありません。

小さな承認や、安心して試せた経験の積み重ねによって育ちます。

加点主義が機能している職場では、次のような循環が生まれやすくなります。


  1. 安心して相談や提案ができる

  2. 仕事を良くする方法を考える

  3. 小さく行動してみる

  4. 行動や工夫を認められる

  5. 次の前向きな行動につながる

この循環が続くと、社員は指示を待つだけではなく、自分から仕事に関わりやすくなります。


まず確認したいのは、社員ではなく職場の状態


社員から提案や相談が出なくなったとき、すぐに「やる気がない」と判断するのは早いかもしれません。

まず、次の状態を確認してみてください。


  • 社員が安心して意見を伝えられるか

  • 提案に対して反応を返しているか

  • 採用しない場合に理由を説明しているか

  • 小さな工夫や前進を見つけているか

  • 失敗した後に再挑戦できるか

  • 守るべき基準と、工夫できる範囲が明確か


減点主義から加点主義への転換は、評価制度をすべて変更することから始める必要はありません。


まずは、社員が相談や提案をしたときの反応や、日々の声かけを見直すことから始められます。


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メーカーの開発・試作部門で約15年、介護現場で約11年勤務。製造業と介護の現場で働いた経験と、社会保険労務士の視点から、人が定着し、前向きに働きやすい職場づくりについて発信しています。

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